合掌造りの村へ

富山県にある世界文化遺産にも認定されている合掌造りの村、五箇山(ごかやま)へ行ってきました。
しんしんと降り続く雪。
物語のひとコマのように美しい集落。
ここには、観光ではなく人々が住み、日々の営みがある「生きている世界遺産」がありました。

今回は合掌造りに使われている茅葺きの茅を保全するための「合掌の森再生プロジェクト」
の取材も兼ねてのツアーでした。
合掌造りは、小茅というススキの一種の自然素材で屋根を葺いているのですが
茅の自給率が減って、他県から購入しなければならなくなったり
も高齢化、少子化の影響によって担い手が減ったりして、
世界遺産を守り維持していくにも知恵が必要なのです。
そのために、古い茅を肥料として農作物を育てたり
茅の入った和紙を作ったりといろいろな試みがされています。

かんじきと藁みの?をかぶって雪ん子にもなってみました。
思ったよりずっと藁は暖かくて、
取材するノートに雪が積もるのを防いでくれました。
かんじきも、シンプルな造りながら、雪の中にうまらず
本当にうまく機能します。
昔の人の知恵はすごいです。

こちらは、雪の中に植わっている五箇山かぶらです。
寒さに耐えて3メートルの雪の中に埋まりながら育っている赤カブは
えらいです。
甘みもあって、ほんとうにおいしい。
この赤カブで地元の女性たちが、それはそれはおいしいランチを作ってくれました。
この地方は、浄土真宗が盛んな土地で、いまでも村人たちは、信仰を大切に生活を営んでいます。
食事も、自分のために命を捧げてくれるものや、食材を作ってくれた人、
料理を作ってくれた人への感謝が原点になっています。
そのためというわけではないですが、旅館の料理もツアーの食事も
どれも心がこもっていてまんずおいしかった!

五箇山に生まれ育ったAさんが教えてくれたのですが
五箇山は民藝とも深い関係があるそうです。
泊まっていた宿の前に行徳寺というお寺があったのですが
そこには、なんと柳宗悦、棟方志功、河井寛次郎、 バーナード・リーチ、濱田庄司
といったきら星のような民藝作家の方々の作品があるとのこと。
ああ、見たかった。
帰ってから「バーナードリーチの日本絵日記」を見返してみたら
ありました!五箇山のスケッチまで残っています。
「ここには土徳がある」という柳宗悦の言葉がありますが、
自然と人と風習がいっしょになって
生まれている何かこの土地にしかないものがあるように思います。
この五箇山のお話は、毎日新聞「マイeco」(3月末発行号)でもレポートしますので
発行されたら是非読んでみてください。

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