御蔵島 巨樹の森

遠くから見ると青く見える御蔵島は、ほとんどが森で覆われています。
近づいても海岸はほとんどなく、断崖絶壁で船が近寄れる場所もほとんどありません。
森には幹の周りが5mを超えるような巨樹が600本もあります。全国でも2位だそう。
国有林ではなく、村有林と民有林。まさに御蔵の森なのです。

今回は、「南郷巨樹の森」と「タンテイロの森」を歩いてきました。
南郷巨樹の森は島の人の案内で、いろいろと説明を聞きながらゆったりと歩きます。
スダジイなどの常緑照葉樹の巨樹が多く、シダの種類も豊富です。
シダでは沖縄でもよく見かけた「オオタニワタリ」というどこでも生えてしまう
シダがたくさん。
島の人に「沖縄では天ぷらで食べますよ~」と言ったらびっくりしていました。
中には桑の木もありましたが、これは御蔵島で養蚕が盛んだったころのなごりなのだそうです。
ツゲもありました。こちらも江戸時代から植林していたそうで、
今回も、ガイドさんがツゲの杖を貸してくれました。

南郷の森にいたるところにあるのが鳥の巣。
土を掘って巣をつくるめずらしい鳥は
この島のシンボルにもなっているカツオドリ(オオミズナギドリ)です。
御蔵島はキツネなどの天敵がいないのでたくさん繁殖したとのこと。
でも昼間はお留守で、夜にならないと戻ってこない。
卵の殻だけがところどころに落ちていました。
周りの樹木にも、カツオドリのひっかき傷がいっぱい。
きっと夜はわさわさと賑やかなんでしょうね。

一方、タンテイロの森はガイドさんなして入れて、深い御蔵島の森を気軽に体験できます。
一緒に行った友人やツアー参加者と雨上がりのぬかるんだ山道を登り、
森の精霊たちが住んでいそうな森を探検しました。
こんな豊かな森があるから、イルカたちが住める豊かな海があるんだなあと納得。
そしてこんな豊かな自然が東京都にあることにもういちどびっくり。
昔から村の人がイルカも森も大事に守ってきたんだろうなあ。

「百人超えたら油断するな」これは海が荒れたら孤島となる御蔵島の教えだそう。
資源も食糧も限りあるもの。だから御蔵の人はあえて人を増やしたりしない。
マス観光に侵されないで、これからもこの御蔵の豊かさが守られることを願いつつ
島を後にしました。

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